BlackBerryが車載OSで躍進している様です。スマートフォンでは独自OS製品の撤退がありましたが、車載OSの分野では海外のメジャーなブランドが採用するなど、躍進している様です。
BlackBerryは2022年8月26日、車載OS(基本ソフト)である「QNX」の採用状況や、Amazon Web Servicesと共同開発している車両データ基盤「IVY」の進捗についてオンライン会見で説明したとのこと。
記事によれば新たにVWグループのソフトウエア子会社であるCARIAD(カリアド)がQNXを採用したとの記載があります。カリアドはVWの車両OS「VW.OS」やクラウド「VW.AC」などで構成する統合型のソフト基盤を開発しており、2020年代半ばからVWグループのブランドに採用するそうです。QNXは、VW.OSの先進運転支援システム(ADAS)、自動運転システム(ADS)の基盤として機能します。
他にも以下のブランドが採用しているとの記載があります。
- BMW
- VOLVO
- Jaguar Land Rover
- GM
- Ford
- Hyundai
また、自動車メーカーの上位10社中10社、EVメーカーの上位25社中24社がQNXを採用しているとの事。ブラックベリー社、Senior Vice President&Head of BlackBerry Technology SolutionsのJohn Wall氏は、「EVメーカーの上位25社でQNXを採用していないのは米Tesla(テスラ)だけだ」とコメントしているそうです。
QNXとは
- ブラックベリーが開発する車載OS。
- QNXを搭載する車両がすぐにIVYにつながるわけではない。車載ソフト基盤のIVY EdgeをECU(電子制御ユニット)に組み込み、コネクテッド機能を通じてAWSが提供するIVY Cloudと連携する必要がある。そのような車両がいつ何台市場に投入されるか、現時点では見えない。
IVYとは
【IVY開発以前の課題】
- クルマは多種多様なセンサーを搭載し、車内外のさまざまなデータを収集できるほか、コネクテッド機能を使ってクラウドとの連携も可能である。このため、車両データを活用したさまざまなサービスが期待されているものの、「実際にはクルマ特有の事情によってデータを収集・活用することが難しい」。
- クルマはハードやソフトが統一されていない。「1台の車両に100個ものECU(電子制御ユニット)やセンサーが載っている。それらはハードやソフト、ファームウエア、OSがバラバラで、カスタマイズされたものも多い。センサーが出力するデータの形式や、通信のインターフェース、プロトコルもバラバラである。このため、データを集めること自体が難しい」
- データへのアクセス権限が限られている。安全性やセキュリティーなどの観点から、センサーにアクセスできる権限や、センサーデータを第三者に提供できる権限などは厳しく制限されている。
- 自動車メーカーやブランド、車種の違いを超えて、さまざまな車両データに簡単にアクセスできるデータ基盤(プラットフォーム)を目指すブラックベリー主導のプロジェクト。具体的には、QNXの組み込みソフトやOS、OTA(Over The Air)の仕組みと、AWSのクラウドサービスを連携させたデータプラットフォーム。車両のECUやセンサーから集めた元データ(RAWデータ)を車載(エッジ)側で処理してからAWSに送る。
- IVYはファームウエアとしてECUに実装
- データとしては、アクセル、ブレーキ、ステアリング、GPS、加速度センサー、電池、カメラ、LIDAR(レーザーレーダー)、ミリ波レーダー、シートベルトなどの車両情報に加え、V2Xによるインフラ側のセンサー情報も扱う。
- ハードやソフト、OSの違いを吸収し、さまざまなセンサーからデータを集めてAI(人工知能)で分析し、役に立つ情報(インサイト)に変えて、アプリやサービスに提供。
- Amazon Web Services(AWS)と共同開発。
- トヨタ自動車傘下のウーブン・キャピタルなどが出資する米Ridecell(ライドセル)がIVYへの参画を決める
- ブラックベリーがIVYの構想を発表したのは20年12月。
- 21年3月には投資基金「IVY Innovation Fund」を設立。
- 21年6月に電気自動車(EV)の電池をAI(人工知能)で管理する米Electra Vehicles(エレクトラビークルズ)へ出資。
- 21年8月にはコネクテッドカー向けの決済技術を手掛ける米Car IQへの出資。
- 地図サービスのオランダHERE Technologies(ヒア・テクノロジーズ)とも連携。
Ridecellとは
- コネクテッドカーや自動運転車のデータを収集、管理するサービスに強みを持つ。
- ウーブン・キャピタルやデンソーなどが出資。
- トヨタのサブスクリプションサービス「KINTO(キント)」において、スウェーデンや北欧地域のサービス基盤を担うなどの実績もある。
ライドセルはIVYに参画した理由として、“データの断片化”という自動車業界の課題を挙げる。「我々が収集、分析する車両データは、カメラやミリ波レーダー、LiDAR(レーザースキャナー)、GPS(全地球測位システム)など多種多様だ。しかも、それらのデータは同じ自動車メーカーの中でも車両ブランドごとに形式が異なっている」と同社Chief Financial OfficerのShiva Kumar(シヴァ・クマール)氏は指摘する。このため、同社のサービス基盤に新たに車両ブランドを追加しようとすると、「3~6カ月ものカスタマイズ期間が必要になる」という。
これに対し、IVYでは「正規化(ノーマライズ)」と呼ぶ処理によってデータ形式の違いを吸収する。車載ソフト基盤「IVY Edge」とAWSのクラウドサービス「IVY Cloud」を連携させることで実現する。ライドセルは、IVYで正規化したデータを自社のサービス基盤に送ることで、車両ブランドごとのカスタマイズ作業を省略したい考え。(IVYは自動車メーカーやブランドの違いを吸収する正規化と呼ぶ処理を行う。これにより、ライドセルは車両のセンサーデータにアクセスしやすくなる。)
Areneとは
- IVY同様、車両データ基盤。
- ライドセルに出資するウーブン・キャピタルの持株会社ウーブン・プラネット・ホールディングスが開発。
以下は参考です。
<Source : 日経 XTECH>
BlackBerryがこの分野で動いていることはノーマークでした。もう少し調べて改めて掲載します。個人的には車載OSやそのデータプラットフォームは世界共通にし、コストダウンを図りつつデータの共用化を行いユーザーにフィードバックして欲しいと考えています。(ナビもインターフェースも世界共通で良い)