少々古い記事ですが、気になりましたので紹介します。
トヨタ自動車 未来創生センターでは、クルマ用の充電器を開発しています。もちろん、内外の自動車メーカーに限らず、部品メーカーやインフラ企業を問わず開発しているとは思いますが、トヨタ自動車 未来創生センターの記事を紹介します。
思いつく充電方式は以下の方法があります。充電できる場所や、充電の選択肢が増えないとEVは普及しないという声はよく聞きます。マンション住まいの私も同感です。
- 接触式:クルマを駐車場に停めて専用の充電ケーブルを挿す方式
- バッテリースワップ式:充電された電池に取り換える方式
- ワイヤレス式:充電ケーブルを挿さずに充電が出来る方式
トヨタ自動車 未来創生センターで取り組んでいる「走行中にワイヤレスで充電する方式」がレポートされています。
走行中ワイヤレス充電式は高速道路や街中の交差点などの道路下に機器を埋め込み、その道路上を走行・停車するクルマへ向けて充電します。ユーザーは充電ケーブルを挿すといった手間と、電池が無くなり走れなくなってしまう不安から解放されます。また一般的に電池は高価で高重量であるため、航続距離が長く車両が大きいトラックやバスなどにはBEVに向かないと言われています。このワイヤレス充電システムが実現すると、走行に大きなエネルギーを使う車両にとっては、大容量の電池を搭載しなくてもよいため、より多くの人・物を移動させることができます。
トヨタ自動車 未来創生センター 「走っているクルマに電力を供給する「走行中ワイヤレス充電システム」を開発中」
確かに便利な技術です。早々に実現してほしいと思います。しかしながら、現実はそれほど容易でもなく課題が多いそうです。具体的には
- 強度の課題:道路に埋設する場合、トラックなどの重機に踏まれても壊れない程度の強度が必要
- 損失の課題:ワイヤレス充電時に消費する電力(充電時にロスする電力)を減少させる
- 電波影響の課題:ワイヤレス充電時に充電機本体が発する電波で周囲の電気機器を誤動作させない事
確かに課題は多いのでしょう。「損失」と「電波影響」の問題はトレードオフのイメージがあります。同時に、電波の漏れの問題も気になります。人体への影響、特にペースメーカーや電気的な医療機器を装着している方々への影響が気になります。この影響を少なくするため、挑戦している様です。
難しい詳しい話はリンク先のサイトでご確認いただくとして、スマートフォンのワイヤレス充電とは異なり、磁束が漏れやすいこの「走行中にワイヤレス充電」の課題をクリアした様です。そればかりか、世界最高水準を達成したとの事。まだ、高強度化、低損失化そして低コスト化等の課題は残されている様ですが、今後も注目していきたいと思います。
地味な話題なのですが、10年先、20年先には標準的な技術になり、よりEVの普及に貢献すると思います。内燃機関対EVといった短絡的な話題ばかりでなく、この様な前向きな挑戦を続ける企業や皆さんを微力ながら応援しています。
<Source : トヨタ自動車 未来創生センター>