スズキとSkyDrive社が「空飛ぶクルマ」の事業化を目指し、連携協定を締結したとのこと。
SkyDrive社とは
SkyDriveは、愛知県豊田市に本社を構える、航空機、ドローン、自動車、それぞれの分野のエンジニアを中心に2018年に設立された若い企業です。事業内容は、「空飛ぶクルマ(eVTOL)の開発・製造・販売・運航サービス」「物流ドローンの開発・製造・販売・運用サービス・コンサルティング」となっています。
2020年には「EY Innovative Startup 2022」を受賞、2022年にはロイターが選ぶBest of CES 30にSkyDriveが選出されるなど各方面から注目を集めています。また、2025年大阪・関西万博時のSkyDrive社の空飛ぶクルマの運航開始に向けて準備が進められています。
有人飛行を行うAir Mobility、重量物運搬ドローンであるCargo Droneを製品として扱います。
連携協定の内容
今回の連携協定の内容は、以下の通りです。
- 機体開発及び要素技術の研究開発
- 製造・量産体制および計画
- スズキの四輪・二輪・マリンに「空飛ぶクルマ」を加えた新しいモビリティの具体化
- インドを中心とした本件対象の海外市場開拓
連携協定の狙い
両者のプレスリリースの中の、「連携協定の背景」というセクションの後半に以下の記載があります。今回の連携協定の狙いはこの部分にフォーカスが当たっている様に感じます。お互いのメリットも活かしながらWin-Winとなりそうです。
この度、SkyDriveとスズキは、相互の連携を図ることで、四輪・二輪・マリンにつづく、新しいモビリティ「空飛ぶクルマ」への事業参入を検討し、多様な選択肢をお客様に提供したいという思いから連携協定を締結する運びとなりました。今後、事業・技術連携を行う事で、技術の研究開発、製造・量産体制の計画、インドを中心とした海外市場開拓を推進し、カーボンニュートラルへの取り組みも推進して参ります。
空飛ぶクルマとは
空飛ぶクルマとは:明確な定義はないが、「電動」「自動(操縦)」「垂直離着陸」が一つのイメージ。諸外国では、eVTOL(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)やUAM(UrbanAir Mobilty)とも呼ばれ、新たなモビリティとして世界各国で機体開発の取組がなされている。モビリティ分野の新たな動きとして、世界各国で空飛ぶクルマの開発が進んでおり、日本においても2018年から「空の移動革命に向けた官民協議会」が開催され、2030年代の本格普及に向けたロードマップ(経済産業省・国土交通省)が制定されている。
引用元:国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001400794.pdf
他社の動き(世の中の他の注目すべき動き)
このセグメントは「言ったもの勝ち」の様相だと思います。まだ用語や企業バランスや技術の統一はされておらず、用途も参加企業も玉石混交の状態に見えます。まだまだ創世記です。
しかんしながら、世の中にはすでに海外大手プレイヤーも出資する「空飛ぶタクシー」というビジネスセグメントが存在し、徐々に存在感を増しています。排気ガスや内燃機関の排出するCO2問題、渋滞問題を解決する糸口は「空にあり」と、各社が参入したり提携したり資本投下を行なっています。
トヨタ、ANA、ユナイテッドが参加するアーチャーや、大阪駅と伊丹空港を空飛ぶタクシーで結ぶプロジェクトの核となる「Joby Aviation」という企業が海外で先行しています。また、記事によれば、AppleのApple Carエンジニアが「空飛ぶタクシー」セグメントの企業へ流出しているとの流れもあるそうです。個人的には大いに注目をしているエリアです。(と言いますよりも世界的に注目されているエリアだと思いますが、なぜか日本ではあまりメディアが取り上げないのが実情です)
<Source : スズキ>
個人的には大いに期待している分野です。ヘリコプターより機動力がありそうですので、災害時の物資運搬や人命救助、雪山での遭難者探索と救助など、可能性は大きく広がっています。